はじめまして。このブログ日刊『水と蕎麦 研究図鑑』を書いているS編集長といいます。僕は365日365店舗でそばを食べている、そばの研究家でありそば業界の応援団です。
このページでは「そばの楽しみ方」を何処よりもわかりやすく、丁寧に、初心者の方でも全く問題ないように解説します。
この回では、そばの大きな二大派閥である“二八”と“十割”の違いについて紹介します。
そばと小麦
ソバはタンパク質と脂質が多いため、そば粉と水を合わせる水回しが非常に難しく、そば職人の高い技術が必要です。そば粉一粒に水一粒をくっつける技術は、「木鉢3年、延し3月、包丁3日」と言われています。木鉢の作業の難しさがそば打ちの奥深さを表しています。
そば粉だけでそばを打つ方法に“湯捏ね”(ゆこね)があります。そば粉の一部に湯を混ぜて、そば粉自体のデンプンを熱によって糊化(こか)させます。そばの糊をつなぎに使う方法を“友つなぎ”といいます。
二八蕎麦は、そば粉8割にたいして2割の小麦粉をつなぎにして打ったそばです。
小麦はグルテンを含んでいるため、そばのつなぎに使われます。小麦粉に水が混ざると、小麦粉の中のたんぱく質がグルテンを作り出します。グルテンの粘りの効果で、そば打ちの水回しがやり易くなります。
グルテンは、「グルテニン」と「グリアジン」という2つのタンパク質から出来ています。グルテニンに水を加えると、他のグルテニンと結びついて連結して長いバネを作ります。小麦粉をこねることで網状になったグルテニンの隙間に粒状のグリアジンが入り込んで、グルテンが形成されます。
二八そばの特徴
そば粉が8割、つなぎの小麦粉が2割のそばを“二八そば”と言います。伝統的な江戸流のそばは二八蕎麦で打たれています。
二八蕎麦は小麦粉のグルテンが効いているため、弾力があってなめらかで、のど越しが良くつるつると勢いよく食べられます。
そば屋のそばは、そば粉と小麦粉の配合の割合でさらに細かく分類できます。店主がそばのどこを重視して美味しさを表現したいのか、こだわりのポイントです。
豆知識として、二八蕎麦という言葉は江戸時代からありました。この当時は配合の割合ではなく、そば一杯が一六文(2×8=16)という値段から付けられたという説があります。
十割そばの特徴
そば粉100%で打ったそばが、“十割蕎麦”です。「生粉打ち(きこうち)」とも言います。
十割蕎麦は、そばの香りをより強く感じやすくて、ツブツブの食感も楽しめます。
そして大切なことは、十割蕎麦は白いそばもあれば、黒いそばもあるというところです。
どのようなそば粉を使うかで、色も太さも食感も変わります。
そば粉については、【そば粉編】の解説をご確認ください。
色々な十割蕎麦コレクション
まとめ
二八そばも十割そばも、どちらも特徴があって美味しいおそばです。
色々なおそばを食べ比べてみて、その違いを楽しみましょう。