『意外と知らない!?』水の硬度の真実

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日刊『水と蕎麦の研究図鑑』というブログなのに蕎麦ばかりで、水をテーマにした記事を書いていないことに気づきました。
ということで、今回は〈水〉をテーマに記事を書きます。

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知ってるようで知らない、水の〈硬度〉について

飲み水、特にミネラルウォーターの性質と言えば、“pH”(酸性かアルカリ性か)よりも“硬度”(硬いか柔らかいか)がまず出てきますよね。

硬度=ミネラルの量、というのが皆さんの認識だと思います。

1リットル中に指定ミネラルが何㎎入っているか、ということで硬度の単位はmg/Lです。

硬度100未満のものを「軟水」、硬度100以上~300未満のものを「中硬水」、300以上のものを「硬水」と呼びます。

水の硬度 日刊水と蕎麦 soba-aqua 図1

ミネラルウォーターのラベルを見ると、成分表示に色々な鉱物が書かれています。

例として『いろはす』と『エビアン』の成分を比べてみましょう。

『いろはす』 硬度: 27.0
【100mlあたり】
エネルギー: 0kcal
ナトリウム: 1.1mg(食塩相当量 0.003g)
カルシウム: 0.72mg
カリウム: 0.09mg
マグネシウム: 0.23mg

『エビアン』 硬度: 304 pH7.2
【100mlあたり】
エネルギー: 0kcal
ナトリウム:0.7mg(食塩相当量 0g)
カルシウム:8.0mg
マグネシウム:2.6mg

『いろはす』は硬度27で軟水です。そもそも、日本の水は99%が軟水です。

『エビアン』は硬度304なので、硬水です。さすがフランスの水です。

硬くて有名な『コントレックス』は、なんと硬度1,468です。

ちなみに、日本で数少ない硬水がとれるのは千葉県です。

〈硬度〉の計算式

硬度 (mg/L) ≒ カルシウム濃度 (mg/L)×2.5 + マグネシウム濃度 (mg/L)×4.1

なんと硬度とは、カルシウムとマグネシウムの2種類だけで計算されるのです。水に含まれるミネラルにはこの2種類以外に、ナトリウム、カリウム、シリカ、サルフェート、バナジウムなど様々な種類があります。

つまり、「ナトリウム:1000mg カルシウム:0mg マグネシウム:0mg」という水があったとしても、硬度0の軟水となります。
ナトリウムについては、『いろはす』のほうが『エビアン』より多く含まれているため、軟水でもミネラル成分が豊富ということもあるのです。

実は〈硬度〉の表現には、何種類かある

前述の計算式は、アメリカ硬度と呼ばれています。日本ではアメリカ硬度を採用しています。ドイツ硬度という方式もありますが、カルシウムとマグネシウムから算出する点は同じです。

計算式を見ると、カルシウムに2.5、マグネシウムに4.1という係数を掛けています。これはどういう意味なのでしょうか。

そもそも硬度というのは炭酸カルシウム(CaCO3)」の量を計るための指標なのです。
この係数はカルシウムとマグネシウムの量を換算して、水1リットルに入っている炭酸カルシウムをmgで表しています。

なぜ、「炭酸カルシウム」に注目しているのか?

実は「炭酸カルシウム」とは、スケールのもとなのです。スケールとは水栓などに白くカリカリと残るあの水垢の汚れです。

水を使う機器の配管にスケールが溜まると様々な障害の原因になります。

つまりミネラルウォーターに表示している硬度は飲む人のための単位ではなく、工業的に水の中の「炭酸カルシウム」をコントロールしやすくすることが目的なのでした。

それを飲料水にもあてはめているところが、イマイチ嚙み合ってない気がしますが、これがミネラルウォーターの表示の現状です。

新しい指標

ちなみに、カルシウムとマグネシウムを含めて全てのミネラル量を表す硬度の単位もあります。

TDS(Total Dissolved Solid:総溶解固形物)といって、単位はppm(=mg/L)で表します。1000リットル中に入っている無機塩類(ミネラル)と有機物のグラム数です。

水に不純物が入ってないかを調べるのにも使われたりしますが、硬度をTDSで表示しているミネラルウォーターも最近は増えているようです。

ミネラルウォーターにこだわりを持つ方なら、硬度だけでなく、ミネラルの種類と量を気にしてみるのもいいかもしれませんね。

次回は各ミネラルの性質と人体への効果をまとめてみたいと思います。

参考サイト:い・ろ・は・す(I LOHAS)公式サイトEvian(エビアン)公式サイト

記事作成:2023年10月28日

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