
前回は、農林水産省の公表データをグラフにして近現代の変遷をたどりました。
そこで気づいた最近のそば栽培の特徴とは?
今回は、そば栽培150年の変遷グラフから、最近の様子について気になった点を深堀りしていこうと思います。
前回掲出したグラフの右側に注目です!

ここらへんと入れた部分(昭和後半~令和)を拡大します。

同じ角度で下降していた折れ線と棒グラフが、昭和52年からV字回復…
…と思いきや、作付面積の折れ線と収穫量の棒の間に空白ができてませんか?

作付面積は増加傾向なのに、収穫量はそんなに増えてない??
10a当たりの収量データで確認してみると、より鮮明にあらわれてきました。
そこには驚きの事実が!(ちょっとおおげさ。笑)

うすオレンジの帯は、60kg~110kgの範囲で、だいたい明治20年以降はその中に点がおさまってます。

収量が最大の昭和52年は、奇しくも作付面積が最小だった年でもあり、少ない面積でマックスの収量を得るという、理想的というか効率的な年だったみたい。
明治初期や終戦、台風被害のあった年なんかはわかりやすく収量が少ない。
しかしなにより、このグラフでの注目は、赤い丸線で囲ったところ。
平成10年(1998年)ごろからの点々です!
・・・ずいぶん下の方に固まってます。
明治時代と同じレベル感、もしくはそれ以下。
にわかには信じがたい。
なんと150年で最小の10a当たり収量40kgが平成に入って記録されています。

最近25年ほどの収量の平均を計算すると約59.4kgです。
50年前に記録した最大122kgとくらべると半分以下(驚)、なんとも非効率な感じです。
参考に、ここ12年ほど(平成23年・2011年以降)の数値はこちら。

作付面積は6万5千haあたりへ増加傾向ですが、収穫量・収量は横ばいです。
つづく令和6年度(2024年)の第1報(2025年6月27日公表、確定ではないです)はこちら。

10g当たり収量は59kgと、平年並みのもよう。

もしかして最近は「量より質」で、収穫率は低いけど、おいしい品種を選んで栽培してるとか?
そんなことあるのかな?
今の技術ならおいしくてたくさん収穫できる品種が植えられそうと思いますが…
うーん、これまたいろんな要因があるのかもですね。
(受粉のための蜂や虫が減ってるとか、ツキノワグマが山から下りて食べちゃってるとか!?蕎麦用トラクターが足らなくて収穫が追いつかないという話もあるらしい)

さておき、一介のそば好きとしては単純に「収穫量も増えるとよいなぁ」と思います。
<全国の耕作地グラフ>
最後に、そばの作付面積(そば畑)が微増していることに関連しまして。
昭和40年(1965年)以降の田んぼや畑、果樹園、牧草地の耕地面積の推移です。

※「普通畑」だけ、右側に平成22年以降をつぎ足してます。
全体的に耕地は減少傾向で、「普通畑」(そばはここかな)についても微減が続いています。
そんな中、そばの作付面積が増えているのは、全体の傾向とは真逆。
=そばを植えようという気運(?)を感じる、という三段論法は、蕎麦好き目線すぎでしょうか…(笑)
今後どう変化していくのか、また目がはなせませんね。

以上、いかがでしたか?
前回今回と、日本のそば栽培の近現代史を数値で見てみました。
データを見ながら一喜一憂、これも蕎麦のくれる楽しみの一つですね。
農林水産省のウェブサイトには、作物統計の調査方法(最近オンラインの調査が試行されてるらしい)ほか詳しい情報が掲載されています。
データ出典
作物統計:農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/index.html
ブログ記事作成:2025年12月12日
このブログでは、都道府県別のそば栽培についての記事も書いているので、気になる人はそちらもどうぞ!




