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『知っておくべき!』そばの美味しさ・楽しさ【そば粉編】

特集記事
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はじめまして。このブログ日刊『水と蕎麦 研究図鑑』を書いているS編集長といいます。僕は365日365店舗でそばを食べています。そば好きとそば業界全体の応援を目的にこのブログを始めました。
このページでは「そばの楽しみ方」を何処よりもわかりやすく、丁寧に、初心者の方でも全く問題ないように解説します。

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はじめて

蕎麦屋に行きますと、「新そば始めました」とか「本日のそば 〇〇産 〇〇種」となじみのポスターが貼られています。
ラーメンやうどんなど、他の麺類には無い独特の文化です。ここでは、そばの美味しさの本丸である“そば粉”について、その起源から順を追って解説していきます。

ソバの起源

中国の雲南省と四川省の間の山間部がソバの起源です。この地域は少数民族が多く、山深くて冷涼でいつも曇り空の天候です。一方でイネ(お米)は晴天で平地の中原国家を起源としており、ソバとは全く逆のイメージです。
この地域は標高が2,500~3,000mで8月下旬でも寒いです。そのころにソバが収穫されます。

ソバの産地と品種

ソバは、タデ科ソバ属に分類される一年生草本作物です。種をまいてから約2ヶ月半~3ヶ月で収穫できます。そのため年に2回の収穫が可能です。
日本では、北海道や中部地方などの冷涼な地域で栽培が盛んであり、水田転作作物としても各地で栽培されています。また「救荒作物」とも呼ばれ、一般の農作物が不作のときでも成育して、比較的よい収穫をあげられます。

ソバの品種は、夏の栽培が可能な夏栽培型のソバ品種と、秋に栽培しないと種子がとれない秋栽培型、その中間にある中間型品種があります。
これらの栽培型は日長に対する反応の遺伝的な違いで区別されます。北海道では霜が早く来るため、夏栽培型の品種しか作れません。

※在来種・・・地域に適した品種とされる。ソバの場合には、その土地の末尾に「在来」と記して在来種とする場合が多い。

ソバの収穫時期は北海道から順に南下していきます。蕎麦屋も常に新そばをお客様に提供できるように、毎月そば粉の産地や品種を変えて仕入れているお店が多いです。
そば粉の産地や品種・旬の時期が分かると、蕎麦屋が貼っているポスター(お客さんへのメッセージ)もより楽しめます。


そば粉の製粉

蕎麦屋のほとんどは、そば粉(ソバの実)を製粉会社から仕入れます。一部の蕎麦屋は農家から直接購入し、さらに少数ですが自家栽培している蕎麦屋もあります。
そば粉の製粉は、製粉会社に依頼し製粉後のそば粉を購入する蕎麦屋と、ソバの実(玄ソバ、抜き実)を購入して自家製粉をしている蕎麦屋があります。

製粉会社での製粉は、機械挽き(ロール挽き)と石臼挽きの2種類があります。

 ・機械挽き(ロール挽き)・・・製粉速度が速く、均質な粉が得られる。水分が蒸発しやすい。
 ・石臼挽き・・・熱が発生しないが、時間がかかる。粒が不均等。

そば粉の製粉について、改めてソバの実から説明します。
※以前の記事と重複ソバの実の構造は外側から順に、外皮(そば殻)→甘皮(種皮)→胚乳→胚芽となっています。
各部分は胚乳が 50%、胚芽(将来双葉となる部分)が15%、甘皮が10%程度で、外皮が 20%を占めています。胚乳はデンプンが占めていますが、種皮や胚芽にはタンパク質が多く含まれています。

 ・玄ソバ    ・・・外皮(そば殻)の付いたままの状態
 ・抜き実(丸抜き)・・・外皮を外した状態

ソバの実は製粉するときパッカーンと割れて、真ん中の白い部分から粉になります。
これが一番粉です。製粉を続けることで、二番粉、三番粉が生成されます。

自家製粉をしている蕎麦屋は、店内に石臼の製粉機があるので、みなさんも見覚えがあるでしょう。
そば粉は製粉から時間が経つほどに香りは飛んでしまうため、自家製粉をしている蕎麦屋は増えています。
美味しいそばを打つためには、そば粉の「しっとり感」が大切です。

 ・粉の細かい粒を含む
 ・製粉中に水分が飛ばない
 ・水分を含みやすいタンパク質を適度に含む

石臼挽きのそば粉は、粒が不揃いで不均等になります。この不均等さが美味しさの素になります。
大きな粉の粒子の間をつなぐ細かい粒子があると、粗挽きのそばがつながり易くなります。
石臼の溝の見立てや回転速度を調整することで、店主が求める打ちたいそばに合った粉を自ら製粉することができます。

まとめ

いかがでしょうか。そば粉についての興味が増しましたでしょうか。
そば好きの皆さんも、ソバの実が生産されてから、製粉されてそばになるまでの道程を理解していただければ、そばをより美味しく楽しめると思います。

 参考:『そば学』井上直人
 参考:独立行政法人 農業技術研究機構

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